我が主よ、あなたのことをもっと知りたいのです(ハレルヤ)
あなたとともに行きたいのです(ハレルヤ)
あなたに全てを捧げたいと思っているのです、我が主よ(アアア)
George Harrison - All Things Must Pass #1-2 "My Sweet Lord"
あれから半年が経った。完全に吹っ切れたわけではないが、ほとんど支障はない。
去年の今頃、彼女はチョコレートの代わりにパンケーキを作ってくれた。彼女はパンを焼くのが趣味だった、全てを忘れて集中できると言っていた。よく憶えている。
私はおそらく記憶を定着させやすい性分だと思う。定着している記憶はとてもとても甘い。その記憶は私にとって薬であり、猛毒の劇薬だ。あのパンはとてもとても甘く優しかった。
私は幸福感と距離を取って生きてきた人間だ。近づきすぎると反動があると自分に言い聞かせてきた。今回は近づきすぎた、終わりの瞬間が訪れる可能性を考えることを止めてしまっていた。私はノーガードだった、おそろしく鈍く重いパンチを貰って K.O. されたようなものだった。
今の私はパンチドランカーのようなものなのかもしれない。本当の意味で立ち直ることはもうないのかもしれない。
昔のことを思い出す。私は常に観客席で自分の試合を眺めるような人間だったように思う。つまらなそうに試合を見つめる観客だ。ただ今回は観客ではなかった。そして負けた。
勝ちたかったわけじゃない。最初は負ける可能性も考えた。だけど最後の時間、私は負けることなんて微塵も考えていなかった。これは多くの人が陥る罠のようなものなのかもしれない、だが私はそれらをできるだけ避けてきた。今回は避けられなかった、それが良かったのか悪かったのか?今はわからない。きっと私次第なんだろう。
私には尊敬する存在、尊敬できる存在がいない。私の知らぬ、私が未だ出会っていない、我が主がどこかにいるんだろうか?いてほしいものだ。
私は人に絶望しているが、同時に悲しくなるくらい期待もしている。
本当に My Sweet Lord に会いたい。